盲導犬共同訓練日誌⑤

いよいよバスや電車などの乗降訓練も始まりました。
私の方向取りがうまくいかないという問題がのしかかってきた時期です。


■8月7日(木曜日)
3回目の駅前通りコース。
もう地図は頭に入っているのに、私の方向取りがうまくいかず、何度もやり直しをしました。車の流れがまだちゃんと聞けていないようです。
それと、私の方向が悪いせいか、ナンシーが止まった時に、体を右に向いたりしてしまいます。
そこですぐに判断してNOを言うのが遅れてしまったり、流れ作業になってしまったり・・・一つ一つの指示がナンシーにしっかり伝わるよう、丁寧に指示を出していかなければと思いました。
プルプッシュ(わざとハーネスを右に引っ張ってその反動で左に寄らせる方法)は、私の体がナンシーから離れないよう、ハーネスだけを右に引いて、バランスを保ったままよってがかけられるようにしたいです。
とにかく、私のNOを言うタイミング。一つ一つの号令を丁寧に確実に、方向取りはしっかりとが、大きな課題だと思いました。

バスの訓練は、どのようにしてバスに乗降するかの流れはわかりました。
実際、私がよく使う路線バスで、これが生かせるように頑張りたいです。
今日はすいていたのでよかったですが、これが混んでいた時は、また難しそうだなと思いました。


■8月8日(金曜日)
電車の乗り降りの訓練。
電車以外でも、改札の通り方、エスカレーターの乗り方、ホームの歩き方など、盛りだくさんでした。
ホームは、点ブロ(黄色い点字ブロック)をしっかり足で確認しながら、ゆっくり歩くことが大切だと知りました。
人が多いホームでは、自分のいる場所を見失わないよう、充分気をつけたいと思います。
駅のような、雑音の多い場所では、はっきり大きな声で号令しないと、ナンシーに届かないようなので、そこはしっかりやりたいと思います。
ホームと同様、車内でも混雑していた場合が、どうやってダウンさせるか、移動の仕方など、難しそうだなと思いました。
ナンシーを座らせたりすることによって、私の向きがナンシー側に向きやすく、進行方向を見失うことが多いことがわかったので、今後気をつけていきたいと思います。
改札や、エスカレーターは、練習を重ねることによって、スムーズに行けそうだと思いました。

飲食店で、外に出るまでブルブルさせないようにするため、首をつかむのは、なかなか大変でした。
つかみながら歩くことにより、かなり体勢が前かがみになるので、とても歩きずらかったです。なんとかブルブルは食い止められたようなので安心しました。

いろいろ新しい技術が加わり、一度にたくさんのことを考えて行動しなければならないので、今までやったことをしっかり復習していきたいと思います。


■8月9日(土曜日)
いつもの駅前通りを再チャレンジ。
触地図(横突があり、触って確認できる地図)で、コーナー(かど)での犬の動きや、命令の仕方を確認し、頭の中ではだいぶイメージが出来ました。
実際に歩いてみて、前回よりも、イメージが出来た分、指示もだいぶしっかり伝わり、スムーズに歩けるようになってきたと思います。
方向取りは、まだ少し左を向くことが多いですが、大きなずれは少しずつなくなってきました。
午後にYさんに、車の音の聞き方を教えていただき、それによりだいぶ向きも取りやすくなりました。
道で早く実践してみたいです。
ナンシーが止まった時、なぜ止まったのかをすぐ判断できるようになりたいです。


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2014年現在
白杖時代に、あまり一人歩きをしていなかったせいで、車の音を聞いて方向取りをするのがうまくいかず、
斜め横断をしてしまいそうになったり、何度もやり直しの連続で、
私のせいで暑い中ナンシーを何度も歩かせるのが申し訳ないやらなさけないやらで、
たまっていた思いが吹き出し、部屋で一人で泣いてしまったことがありました。
そうしたら、ハウスで寝ていたナンシーが私のところへ寄ってきて、
しっぽをふりながら顔をペロリとなめてくれたんです。
「大丈夫だよ!一緒にがんばろうよ!」と励ましてくれていたみたいで、
私もナンシーを抱きしめて「ありがとう!」と涙ながらに言っていました。
その瞬間から、私の気持ちも大きく変わり、
この子とならうまくやっていける!なんでも乗り越えられる!
と強く思い、ナンシーと絶対にいいペアになろう!と決心しました。
この出来事のおかげで、今の私たちがあるのだと思います。

レストランを出る時、身ぶるいさせないようにするために、首をつかみながら歩くのはとても大変でした。
それに、あまり格好の良いスタイルでもないなと・・・
何度もレストランに行くうちに、首はつかまずハーネスを強めににぎって、
ブルブルしちゃだめよというのを伝え、レストランを出てからハーネスを放し、
「ブルブルOK」と言ってあげるようにしたら、ちゃんとお店を出るまでブルブルしないようになりました。
このように、実際に生活していく中で、訓練では教わらなかったことを私なりにナンシーに教えたこともたくさんあります。
こうして、それぞれのユーザーと盲導犬の中でのルールというものを、少しずつ作っていくんですよね。
 

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comment

加奈子さんとナンシーちゃんでひとつひとつを覚えて苦難を乗り越えて行く事で、
今の息の合った「カナンシーペア」になれたのですね。
読んでいて、本当に、心と心のキャッチボールで、絆が繋がって行くのだなと胸がいっぱいになりました。

お互いに作り上げる

今回の日誌は、かなり難易度の高い訓練の様子。
いやあ、つくづく盲導犬と息を合わせていくのは大変だなと感じました。
ユーザーが、自分と犬との関係、そして自分と周囲の環境とのやり取りを、
スムースに判断し、理解し、盲導犬のサポートの元、
街中を歩くのが本当に大変であることを知りましたよ。
しかし、そういう「大変さ」を乗り越えられた今、
お二人の関係が強く結びついていることも、
同時に読み取れました。

##私からアドバイスを…。
外出時、車の音を聞きながら、方向を判断するとき、
車の音に気をとられすぎないように気をつけてくださいね。
「音」は、我々視覚障害者が行動をするときの助けとなると同時に、
反射などによって錯覚を起こしたり、判断をミスする原因となります。
道路わきの縁石や、建物の敷地と道路の境目、
電柱や壁の変化を利用することも有効な方法です。
20年以上白杖で歩いてきた私の経験からですが、
もし、よろしければ参考にしてください。

なるほどねぇ

日ごろ普通に見ている犬のブルブルが、店の中へも一緒に入って行く盲導犬には禁止事項なのだと初めて知りました。
そんな苦労をしていたなんて、過去の加奈子さんと一緒に私もウルウルしてしまいました。

もうおたがいになくてはならない
顔をペロリとしてくれたなんて
加奈子さんを心配しているんだよ
もう泣かないで、2人のペースで
やっていこうね♪
ナンシーchanが少しだけお姉ちゃんかも?

ざくろの森さんへ

この時に悩み、苦労したことが、今の私たちを作っているんだなと改めて読み返して感じました。
すべての経験は、必ず形になるんですよね! 今となっては良い思い出です。

StarHorse02さんへ

お互い心のある生き物ですから、すぐに息が合うのは難しいですよね。でもこのことがきっかけで、お互いの距離がぐんと縮まったのは確かでした。
今は私もナンシーを信頼して歩いているので、道を渡るのも安心して渡れるようになりました。きっと無意識に音を聞くのも慣れているのでしょうね。アドバイスもありがとうございます。

サイコさんへ

飲食店では、毛の飛散を防ぐために、ぶるぶるしないように教えています。その変わりお店を出たら必ずぶるぶるOKで思う存分ぶるぶるさせてあげてますよ!
でも、朝ご飯の催促で、私の枕元で盛大にぶるぶるされて起こされるのはちょっと(笑)

B AKKYさんへ

ナンシーの方がよっぽどお姉さんだなって思うことよくありますよ!私がまぬけなことして、思い切りため息つかれたり(笑)
いろいろな部分で頼りきってしまってるので、私もしっかりナンシーを守っていこうと思います☆

公共交通機関の

乗り方って大変ですよね(泣)先ずはバスですがバスの停留所までを覚えて貰うのに何回も歩いてスタフィーに覚えて貰わないとね。っで、鈴木さんも行ったとは思いますが甲府驛で電車の乗り方を訓練されたとは思いますが、自分と訓練士さんのSさんと停車中の車内で雑談してたら発車のベルが鳴ったと思ったら自分達が乗ってる電車が発車するベルの音だったみたいでドアが閉まって発車しまったというハプニングがおこっちゃいました(笑)あれは?共同訓練中の笑えますがいい思い出になりました)^o^(

スタフィーパパさんへ

甲府まで行くのも楽しかったですよね!そこで桃を買って、夕食にみんなで食べたのを覚えてます。
電車が発車してしまったのはあわてたでしょうね。なるべく混雑した電車やバスには乗りたくないですよね。
 
プロフィール
鈴木 加奈子
Kanako CD情報
鈴木加奈子トロンボーン・ソロアルバムII~Precious Seasons~ 新発売!
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