盲導犬共同訓練日誌⑥

富士ハーネスでの訓練もラストスパート。
ナンシーとの距離も一気に縮まっていきます。


■8月11日(月曜日)
犬が突然飛び出した時のために、ハーネスを放してリードだけをしっかり握るという練習。
ハーネスやリードの持ち方を、今までと少し変えることで、うまくハーネスだけを放すことができそうです。とっさの場合に、しっかり使えるかが問題ですが。
いつもと違って、ナンシーが異常な反応を示した時に、無理やりハーネスをつかもうとすると危険だそうなので、危ないと思った時点でリードのみをしっかり握れるようにしたいです。
(ハーネスをつかんだままにすると、自分の体も引っ張られてしまい、転ぶ可能性があるため)

交通訓練は、ユーザーがGOの命令を出した時に、もしせまってきている車があった場合、その命令に従わずに動かないという、犬にとっても神経を使う作業だそうです。
ギリギリのところまで車がせまってきているので、私も後ろポジションになりがちで、その後歩き出した時に、ナンシーが右に出てきてしまうという問題はありましたが、ナンシーはしっかり車の前で止まってくれました。
(職員さんが運転する車が、わざと私たちすれすれに横切っていきます)
そういう時は、思い切りほめてあげたいと思います。余談ですが、ほめる時に、ナンシーのあごをなでてあげると、プルプルしていてかわいいです。

しっかりNOを伝える訓練は、チョークとNOをかなりの強さですることによって、ナンシーの反応が明らかにキビキビしていくのがわかりました。
命令をあまり聞かなかったり、ダラダラしてきた時に、時々こういうことをすると効果的だそうです。
その後で、しっかり遊んであげて解放してあげることが大切だとわかりました。いいこと悪いことをはっきり伝えてあげることが、大切なのだと思いました。


■8月12日(火曜日)
朝、私が少しの時間部屋を離れて戻ってみると、ナンシーがドカーンとベットの上でくつろいでいるではありませんか・・・
すぐにきつめにNOを言って降ろしました。
しばらく無視をしていると、ナンシーは、机の下で小さくなっていたので、その後軽いDE(基礎訓練)をしてみました。
とても動作がきびきびしていて、よくほめてあげました。

トレーニングルームでのDEも、シット(おすわり)やダウン(ふせ)がほぼ100%うまくいき、なかなかGOODでした。
わざと興奮させて、その後落ち着かせるというのも、まだまだ遊びたいという気持ちはあるみたいですが、コマンドはしっかり聞いてくれたと思います。
ただ、ダウンした時、匍匐前進することがあるので、それを押さえていければと思います。

犬にほえられても、誘惑されずに歩けるかという訓練は、ナンシーは思ったより、犬に動じることはありませんでした。
わざと、犬に近づけても、無視して歩いていました。
訓練の時は、逆に思い切り反応してくれれば、コントロールの仕方も実践できたのですが、まぁ、無視して歩いてくれることにこしたことはないので、よかったと思います。

法律についての講義は、「表示の義務」、「健康管理の義務」、「行動管理の義務」の3つが、私たちが守らなければならない義務だそうです。
いろいろなところに気持ちよく出かけていくためにも、しっかり守っていきたいと思います。
入店拒否なども、まだ実際にあることだそうなので、そういう場面に出くわすこともあるかもしれません。
そういう時にも、相手に盲導犬をわかってもらえるよう、こちらはしっかり管理していきたいです。

夜間歩行の訓練では、視覚的には私は昼間も夜も変わりませんが、お店の音楽などが昼間は頼りになりましたが、夜は静まりかえっていたので、しっかり寄れているかがわかりにくかったです。
途中ナンシーが何度も止まったり、クルッと回転したりして、TWOの合図を出してきました。
近くに排便させる場所がなかったので、ダウンで一度落ち着かせてから排便場所まで歩かせました。
どこでもワンツーが出来るわけではないので、気をワンツーからそらして歩かせるということも、必要になってくると思います。
そういう事件があり、私がわき道の数を数え忘れたりはありましたが、車の流れを頼りに、大通りを見つけることができました。
逆歩道(右側の歩道)でも、「よって」をしっかりかけていかないといけないことがわかりました。
点ブロも頼りになるので、周囲の状況に応じて、うまく組み合わせて使っていきたいです。


■8月13日(水曜日)
富士ハーネスでの最後の訓練の日。ここまであっという間でした。もう少しここにいたいような・・・

いつもの駅前通りのコースを、今日は一人で歩くことになりました。
方向取りや、裏道に入るコーナー(かど)を探せるかどうかなど、心配はいくつかありますが、とにかく今までやったことを思い出しつつ歩きました。
途中交差点を渡る時、私の方向指示がうまくいかずに、車道にはみ出して歩いてしまっていたようで、なにかおかしいと思っていたところで一度止められました。
もう一度渡る前のところまで戻ってやり直し。今度はうまくいきました。
その時の細かい状況をあまり覚えていませんが、渡る前の方向取りは、時間をかけてでもしっかり取りたいと思います。
心配だった、裏道へのコーナー探しは、うまくいき、ちゃんと寄せて歩くことができました。
大きなトラブルもなく、ゴールまでたどり着けた時は、なんともいえない感激と安堵感でした。
ナンシーとも、ぐっと距離が縮まったような気がします。ナンシーありがとう!

歩いている時や、DEをする時など、緊張していると、ナンシーを見下ろして、下を向いてしまうくせがあるようなので、なるべく前を向いて、胸を張って歩けるようになりたいです。

明日から、自宅へ帰り、ナンシーにとっても初めての環境なので、また新たな問題はたくさん出てくると思いますが、ここで学んだことを生かして、あせらず慣れていきたいです。


====================
2014年現在
ベッドにナンシーが乗ってしまった事件は、前日にNOでしかる訓練をしたため、
ナンシーとしては、「なぜこの人は、ご主人でもないのにこんなに私に命令ばかりするのだろう」と納得がいかなかったようです。
そのため、わざとしてはいけないこと(ベッドに乗ること)をして、私を試したようです。
もしそこで私が中途半端にナンシーに注意したら、きっとナンシーの中で、私を主人とは認めなかったでしょう。
思い切りいけないということを伝え、その後基礎訓練でたくさんほめてあげたことがよかったようで、
それ以来、私の指示に対する反応が、見違えるほどにきびきびとなりました。
この日から、やっと私のことを主人として認めてくれるようになったようです。
「都合のいい人」から卒業できた瞬間でした。
群れで生活する犬の習性として、絶対的に信頼できる主人がいることがなによりもの安心なんだそうです。
そのポジションに私がなるということは、二人の信頼関係、そして安全な歩行を手に入れるため、とても重要なことでした。
訓練士さんばかり見ていたナンシーが、やっと私にも「次はどうしたらいい?」と聞いてきてくれるようになりました。

最後の駅前通りを二人だけで歩ききった時、またまた涙がこみあげて、心からナンシーにありがとうを伝えました。
お互い信頼し合うことができたからこそ達成できたんですよね!

さぁ、次回の訓練日誌からは、いよいよ自宅編です。
より日常に必要な訓練をしていきます。
 

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comment

信頼

次第に作り上げられていく信頼。
なかなかに、その課程は感動的ですね。
リードとハーネス。具体的にどう違うのですか?
加奈子さんも、ナンシーさんにとって主人としてあろうと頑張られていると同じく、
ナンシーさんも、加奈子さんを彼女なりの方法で、
見極めようとしているあたりは、
人と犬のやりとりとは言えませんね。
日々記載される日誌の中で、
一人と一等ではなく、
『二人の関係』が築かれていくのだと、
改めて感じましたよ。
ここまでくると、互いに刺激し合って成長している。
そう感じます。

StarHorse02さんへ

ハーネスはハンドル部分で、リードは、ペットなども付けてるような首輪につないでるひもです。その両方を持って歩きます。
本当に人間同士のやり取りのようなことが次々と起こりました。一つ違うのは言葉がしゃべれないことくらいでしょうか。それでもしっかり伝えたいことはお互いわかってくるのが不思議です。

富士ハーネスの訓練を

終わって自宅付近の歩行訓練中に向かいから歩いてきた犬に急に吠えられてスタフィーがびっくりしちゃって車道に飛出したって事件が一回だけですがあり流石に同様しちゃいましたよ。その事件以来今迄そう言う事は無いですけどね。

なるほど

リードとハーネス。どういうものか分かりました。
それぞれ違う目的で使用するのですね。
一対一で向かいながら、
それらの道具を通して会話をし、
歩行中の変化を感じ取るのですね。

かわいいとき、こうしてって、言った通りにきちんとしてくれたときは
思いきり可愛がったり、良くできたねって思いきり誉めたり
人の育てかた、教育と全く同じですね、駄目なものは駄目!
甘やかすのは本人のためにならないしいては自分にかえってくる。
本当に難しいですね
でもそんなことは言ってられません
これからの生活になくてはならない
お互いの命を預けるのだから
自宅にかえって2人だけの訓練が待っている
何か困ったら訓練士にどうしたらいいの?
なんて聞くのは簡単だけど
そんなことはなるべくしたくない。
自宅にかえっての2人の生活の始まりの様子?
どんなどたばた劇?
心配するほどのことはなかった?のかな♪

スタフィーパパさんへ

いきなりでびっくりしたでしょうね。ナンシーは訓練中は飛び出すことはありませんでしたが、卒業してから散歩犬に反応して何度か飛び出したことがありました。今はもうそういうことはなくなりましたけどね・・・すごい力ですよね。

StarHorse02さんへ

そうです。人と犬の気持ちや意思をつなげる大切なものです。
得にハーネスのハンドルは、ダイレクトにお互いの心が伝わるものですね。

B AKKYさんへ

まさに人間の子供に対するのと同じですね。とにかくほめることを大事にして、いけない時はその瞬間だけしっかりしかって、後に引きずらないようにします。
自宅では、常に訓練士さんがいないので、いろいろ不安でしたが、ナンシーが家族になったという喜びが大きかったです。
 
プロフィール
鈴木 加奈子
Kanako CD情報
鈴木加奈子トロンボーン・ソロアルバムII~Precious Seasons~ 新発売!
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